フィナステリドはどんな成分?どんな治療薬に使われている?

フィナステリドは、AGA治療薬の「プロペシア」や前立腺肥大症・前立腺がんの治療薬「プロスカー」の有効成分として使用されている成分です。
日本国内では、前立腺の治療薬としては認められておらず、AGA治療薬としてのみ認められています。

国内ではAGA治療で多く利用される成分であるフィナステリドはどういった成分なのでしょうか。

フィナステリドの効果

フィナステリドには2つの効果があります。

1、AGA治療
2、前立腺疾患治療

1、AGA治療
男性特有の脱毛症であるAGAの治療に効果的。
AGAの完治は現代の医療技術では難しく、フィナステリドはAGAの進行抑制剤として使用されます。
世界60カ国以上で承認されており、その効き目はピカイチ。
国内の臨床試験では、3年間の継続服用で98%もの効果が認められています

2、前立腺疾患治療
もともとは前立腺疾患の治療薬として開発。
臨床試験では、プラセボ(偽薬)と比較して25%も前立腺がんの進行抑制が確認されました。
しかし、現在ではほかの治療薬が多く使用されているため、フィナステリドはAGAの治療薬として主に使われています

AGAの原因5αリダクターゼに効く

フィナステリドがAGAの治療に効果的な理由は、その作用にあります。

AGAはジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが、毛母細胞を攻撃することで毛髪が成長できずに引き起こされます。
DHTを生成するのが酵素「5αリダクターゼ」と男性ホルモン「テストステロン」。
これらが結合することでDHTは生成されますが、フィナステリドには5αリダクターゼの働きを阻害する作用があるため、生成されるDHTの数を減らせます。

DHTが減るといことは、攻撃を受ける毛母細胞が減るということであり、髪が十分に成長でき、抜け毛や薄毛が治療されるのです。

フィナステリドの副作用

フィナステリドの副作用

フィナステリドはAGAの治療に効果的ですが医薬品であるため、効果が得られる反面、副作用が出ることもあります。

無気力
うつ病
食欲不振
吐き気
性欲減退
勃起不全など

フィナステリドの作用は、男性ホルモンの分泌に影響を与えます。
そのため、性欲減退や勃起不全といった症状を引き起こすことも。ED治療薬と併用できるため、ED治療を並行しておこなえます

また、重大な副作用としてあげられるのが肝機能障害
フィナステリドは肝臓で代謝されるため、肝臓が酷使されて引き起こされます。
AGA治療をおこなっている間は、肝臓で分解・吸収されるアルコールを過度にとらないようにするなどしましょう。

フィナステリドの服用方法

フィナステリドの服用方法

フィナステリドの服用は単純でとても簡単です。

・1日1錠(0.2~1mg)
・食事を気にせず服用可能
・次の服用までは24時間以上あける

フィナステリドは1日1錠を水またはぬるま湯で服用します。
この時に守るべきことは、1mgより多く服用しないということ。
フィナステリドの推奨摂取量は0.2mgであり、最大でも1mgと定められています。
これより多く服用してしまうと、副作用が強くでてしまう恐れがあるため、きちんと守りましょう。

また、フィナステリドは食事の影響を受けないため、いつでも服用できます
代謝の関係上、次の服用までは24時間以上あけなければいけないため、毎日おなじ時間に服用すると継続しておなじ効き目が得られます。
起床後や昼食前、お風呂後など、なにかしらのタイミングで服用すると、飲み忘れることなく服用できます。

フィナステリドの服用はどのくらい続けるべき?

フィナステリドの服用をしはじめて効果が出はじめるまでには、早くて3カ月、通常は6カ月ほどかかります。
そのため、フィナステリドの服用は必ず6ヵ月は必要
6ヵ月を目安に、効果があれば服用を続け、効果がまったくなければAGA以外の脱毛症の可能性が考えられるため、服用をやめて医師の診察を受けるようにしましょう。

効果がでて丈夫な毛髪が手に入ったからといって、服用をやめてしまってはいけません。
現代の医療技術ではAGAの根本的治療はおこなえず、フィナステリドによる治療は進行を遅らせたり止めていたりしているだけに過ぎません。
フィナステリドの服用をやめた途端、AGAの進行は服用前の状態に戻ってしまい、再び抜け毛や薄毛に悩まされてしまうため、丈夫な毛髪を維持したい間は服用を続けましょう。

フィナステリドの服用期間は献血絶対NG!

フィナステリドを服用している時に注意したい行動が、献血です。
吸収されたフィナステリドは血液に溶け込み全身へと行き渡ります。
その状態で献血をすると、摂った血液にはフィナステリドが混じっている状態となります。

女性や未成年の男性はフィナステリドを摂取してはいけないとされており、フィナステリドが混じった血液を輸血されてしまうと、副作用の症状が強く出てしまう恐れがありまる。

どうしても献血をしたい場合は、フィナステリドの服用を中断し、1カ月以上経てば献血しても問題ありません

フィナステリドを服用してはいけない人

フィナステリドを服用してはいけない人

フィナステリドは医薬品であるため、体に変化をもたらします。
その作用によって、服用してはいけない人がいます。
あてはまっていないかを確認して服用するようにしましょう。

・成分にアレルギーを持っている人
・女性
・未成年の男性

フィナステリドにアレルギーを持っている人はもちろん、女性や未成年の男性の服用は禁止されています。
女性の試験データがないため、服用するとどういった効果があるのかわかっていません。
場合によっては副作用が強く出てしまうこともあります。

フィナステリドを服用することによって生成が阻害せれるジヒドロテストステロンは、成人男性にとっては薄毛や抜け毛の原因となりますが、未成年の男性にとっては性器の形成に必要不可欠な成分です。
未成年の男性がフィナステリドを服用してしまうとジヒドロテストステロンが生成されなくなり、性器の形成がおこなわれなくなってしまいます

妊活をする時はフィナステリドの服用を中断するべき?

女性のフィナステリド摂取は危険とされていますが、男性側が服用をしている時、セックスや妊活をおこなっても問題ないのでしょうか。

研究によると、精液の中に微量のフィナステリドが混じっていることがありますが、女性への影響はありません。
フィナステリドを服用したまま、セックスや妊活はおこなえます。

しかし、不安である場合は服用をやめてセックスや妊活はおこないましょう
フィナステリドの血中濃度(血液中の量)は服用後6時間程度でピーク時の半分となり、12時間後には13%ほど、24時間経つとほぼ0%に近い状態となるため、行為にいたる前日と当日の服用を避ければ基本的に問題ありません。

フィナステリドを含有したAGA治療薬一覧

フィナステリドを含有した治療薬一覧

フィナステリドを使用した最初のAGA治療薬をプロペシアといいます。
プロペシアは新薬として世界的な特許を取得しましたが、現在では特許の期限が日本国内と国際ともに切れているため、国内外問わず多くの製薬会社がフィナステリドを使用したさまざまなAGA治療薬を開発しています。
どれほどの種類があるのでしょうか。

国内版フィナステリド錠一覧

国内の製薬会社によって開発・販売されているフィナステリドは、「フィナステリド錠+含量+社名」で表記されます。

商品名 社名
フィナステリド錠0.2mg「サワイ」
フィナステリド錠1mg「サワイ」
沢井製薬
フィナステリド錠0.2mg「RTO」
フィナステリド錠1mg「RTO」
リョートーファイン
フィナステリド錠0.2mg「武田テバ」
フィナステリド錠1mg「武田テバ」
武田テバファーマ
フィナステリド錠0.2mg「SKI」
フィナステリド錠1mg「SKI」
小林化工
フィナステリド錠0.2mg「SN」
フィナステリド錠1mg「SN」
シオノケミカル
フィナステリド錠0.2mg「TCK」
フィナステリド錠1mg「TCK」
辰巳化学
フィナステリド錠0.2mg「トーワ」
フィナステリド錠1mg「トーワ」
東和薬品
フィナステリド錠0.2mg「FCI」
フィナステリド錠1mg「FCI」
富士化学工業
フィナステリド錠0.2mg「ファイザー」
フィナステリド錠1mg「ファイザー」
ファイザー
フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」
フィナステリド錠1mg「クラシエ」
大興製薬

海外版フィナステリド錠一覧

海外では多くの国の製薬会社でフィナステリドを含有した治療薬が作られています。それぞれに商品名がついているため、商品名とフィナステリドの含有量、製薬会社の項目にわけて見てみましょう。

商品名 含有量 製薬会社
フィンペシア 1mg Cipla
エフペシア 1mg Cipla
フィナックス 1mg Dr. Reddy’s Laboratories
フィナクス 1mg Lecmaz
フィンサバ 1mg Sava Medica
フィナロ 1mg Intas Pharmaceuticals
プロスカルピン 1mg Fortune Health Care
フィナロイド 1mg LLOYD LABORATORIES
フィナバルド 1mg East West Pharma
ハリフィン 1mg T. O. Chemicals
フィライド 1mg Siam Bheasach
プロスカー 5mg MSD
フィナスト 5mg Dr. Reddy’s Laboratories
フィンカー 5mg Cipla

フィナステリドを1mg含有している商品は、AGA治療薬として多くの国で認められているプロペシアのジェネリック。

含有量が5mgの商品は、フィンペシアを有効成分に持っている前立腺肥大治療薬であるプロスカーとそのジェネリックです。
これら商品を治療に使用する場合は、錠剤を4~5分の1にカットして1mgを摂取するようにしましょう。